全部を一つに預けるのは、危ない

eyecatch 17164 お金・投資

広告代理店に入って数年目のことでした。わたしの仕事は、たった一つのクライアントの担当でした。その会社さえあれば、わたしの評価も給料も安心だ。そう思って、その案件にすべてを注ぎ込んでいました。

でも、そのクライアントが突然、予算を半分に削ったんです。理由は経営陣の交代。わたしには何もできませんでした。一つの籠に卵を全部盛っていたわたしは、その日、一気に揺さぶられました。

「卵は一つの籠に盛るな」——投資の世界の言葉です。お金を一社に全部突っ込むな、分けて持て、と。あの時、わたしはこの言葉の本当の意味を、身をもって知りました。仕事も、人との関係も、自分の自信も。一つのものに全部を預けてしまうと、それが崩れた時に、もう立ち直る場所がない。

だから今のわたしは、そう思うようにしています。一つの夢に燃えるのはいい。でも、その夢だけに、その人だけに、その会社だけに、自分の全部を預けない。少しずつ分けて持つこと。それが、いつか割れた時にも、また作っていける強さになるんだと。

タイトルとURLをコピーしました