積み立てを始めたころ、わたしはまったく気づいていませんでした。それが、十年後に、こんな景色を見せてくれるとは。ある日、通帳を眺めていて、ふと計算してみたのです。入れたお金の合計と、今の金額。その差に、わたしは驚きました。
入れたお金よりも、増えたお金のほうが多い。増えたお金が、またお金を生んでいる。これが複利の力です。雪だるまが転がるように、お金は少しずつ、でも確実に育っていく。ただし、この雪だるまには、条件があります。転がし続けること。そして、時間をかけること。
複利は、時間をかけた者だけの特権です。始めたばかりのころは、まったく伸びません。十年近くは、ただ積み上がっていくだけ。焦ってやめてしまったら、そこで終わり。十年、二十年と続けた人にだけ、雪だるまが転がり始めたときの加速が訪れます。
これは、お金の話だけではないのかもしれません。スキルも、特技も、勉強も、同じです。覚えれば覚えたことで、さらにできるようになる。本を読めば、次の本が速く読める。楽器ができれば、次の楽器も学びやすい。仕事の経験は、次の仕事に効いてくる。どんどん、できることが増えていく。それが、学びの複利。その加速を受け取れるのは、時間をかけた人だけです。
だから、早く始めることに、意味があるんです。今日始めた小さな積み重ねが、十年後のあなたを、静かに支えてくれます。気づかないうちに、できることを増やしていく。それが、時間をかけた者への、特権なのです。


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