「あの人、ちょっと苦手だな」と思う人は、わたしにもいます。同じ会議室に入るだけで、無意識に席を離れてしまう。それなのに、不思議なもので、その人に嫌われたくないと思っている自分がいるのです。嫌いな人に嫌われたくない。こんな矛盾した気持ち、きっと人情というのでしょう。人は誰でも、嫌いな相手にまで「認められたい」と思ってしまうのです。
でも、あるとき気づきました。わたしはその人のことを認めていないのに、その人に認められたいと思っている。よく考えたら、ずいぶんおかしな話です。
自分を認められない人は、人も認められない。この言葉は、こういうことなのかもしれません。他人の欠点ばかり気になるのは、自分の欠点を認められていないから。あの人が嫌い、と思うたび、実は自分の中の「認めたくない部分」を鏡のように映しているのかもしれません。
では、自分を認めるとはどういうことでしょう。わたしは「完璧じゃなくても、まあいいか」と自分に言えることだと思っています。失敗した日に、自分を責めすぎない。苦手な自分も、不器用な自分も、これがわたしと受け入れられること。
不思議なもので、自分に「まあいいか」と言えるようになると、他人にも「まあいいか」と思えるようになります。苦手な人のことも、少しは「そういう人なんだな」と受け止められる。認めることは、相手のためではなく、自分の心を軽くするためなのだと思います。
自分を認められる人になりたい。そうすれば、きっと、人も認められるようになる。この言葉を、静かに胸にしまっておきたいと思います。
