「正しい道を選べる力は、経験が育てる」——そう思えるようになったのは、歳を重ねてからです。
若い頃、人生の岐路に立つたびに、わたしは「運を天に任せる」ような気持ちで決断していました。転職するか、このまま続けるか。新しいことに挑戦するか、現状を守るか。どちらに転んでもおかしくない。まるでコインを投げるみたいに。決めたあとも、「これで良かったんだろうか」とずっと不安でした。
でも、経験を重ねるうちにわかってきました。選択は、ギャンブルではないんです。コイン投げではなく、これまでの経験が「答え」を教えてくれる。過去に失敗したこと、成功したこと、人から言われたこと。そういうものが積み重なって、いつの間にか「これはこっちだ」と感じられるようになる。直感みたいに思えるけれど、その直感の正体は、経験の蓄積なんだと思います。
若い頃に「選ぶ力」がなかったのは、経験が足りなかったから。失敗を重ねるほど、選択の精度は上がっていく。だから、若い頃のわたしに言ってあげたい。「失敗を恐れなくていい。その失敗が、次の選択を正しくしてくれるから」と。
自分で選んだ道は、たとえ失敗しても後悔が少ない。誰かに決めてもらった道は、うまくいかないと「あの人のせいだ」と思ってしまう。自分で選ぶこと、そして選ぶ力を育てること。それが、人生の岐路で迷わないための、いちばん確かな準備なのかもしれません。
あなたが今、選択を迫られているなら、焦らなくていい。あなたの経験が、ちゃんと答えを知っていますから。

